WAKUと東京農業大学がウクライナの農地再生に向けた共同研究実施

WAKUと東京農業大学、ウクライナの農地再生に向けた共同研究をスタート

株式会社WAKU（岡山県岡山市）と東京農業大学（東京都世田谷区）が、ウクライナの重金属汚染土壌に関する新たな共同研究を始めることになりました。この研究は、国際連合工業開発機関（UNIDO）が進める「日本企業からの技術移転を通じたウクライナのグリーン産業復興プロジェクト」に基づいており、特に戦後の農地再生に貢献することが見込まれています。

研究背景

ウクライナでは、2022年から続く戦争の影響で、農地の生産性が大きく低下しています。特に、砲撃や軍用車両による重金属の汚染が進行し、農地再生に向けた新しい手法がきわめて重要な課題となっています。ここで注目されているのが、天然アミノ酸化合物である「グルタチオン」です。この物質は、植物内部での酸化還元バランスの調整や、重金属の吸収を制御する役割を持ち、農業生産の再構築に寄与する可能性を秘めています。

研究内容

WAKUと東京農業大学の共同研究は、次のようなテーマで進められます。

1. 植物体内外での重金属動態解析
グルタチオン施用時におけるカドミウムや亜鉛の移動挙動を調査し、植物による浄化の実現可能性を探ります。

2. 遺伝子発現解析
グルタチオンに応じた遺伝子の特定を通じて、植物体内での解毒や防御のメカニズムをより深く理解することを目指します。

3. 植物浄化手法の設計
研究で得た知見を基に、ウクライナの特性に応じた植物種と施用条件を検討し、具体的な農地再生の手法を提案します。

今後の展望

この共同研究の成果は、2026年からウクライナ国内で予定されているパイロット栽培試験に活かされる見込みです。東京農業大学の基礎研究の成果を受け、WAKUは現地の生産法人や研究機関、行政との連携を進め、グルタチオンを利用した農地の再生モデルを確立していく方針です。また、得られた成果を基に、周辺国であるポーランドやルーマニアなどへの技術展開も視野に入れ、ヨーロッパ全体の「グリーンリカバリー」を支える技術として位置づけることを目指します。

さらに、重金属汚染はウクライナに限らずアジアやアフリカなど世界中での課題です。グルタチオンによる浄化技術は、次世代の環境農学のモデルケースとして期待されており、今後の展開が注目されます。