岡山大学が描く地域再生の未来
岡山大学と新見市、岡山県立大学、戸板女子短期大学、大阪公立大学が共同で手掛ける地域再生プロジェクト「耕作放棄地を『価値ある生態系』へ」が、総務省の「ふるさとミライカレッジモデル実証事業」に採択され、新たな取り組みがスタートします。このプロジェクトでは、減少する耕作地を生物多様性豊かな「食べられる森」として再生し、地域の伝統工芸である神代和紙の原料の確保を目指します。
地域課題に挑む大学間連携
この取り組みの背景には、急速な人口減少や高齢化に伴って増加している耕作放棄地の問題があります。新見市は地域課題の提示を行い、岡山大学が全体のコーディネートを担当。岡山県立大学、戸板女子短期大学、大阪公立大学がそれぞれ専門の知識を生かして支援します。特に、本プロジェクトでは新しい農法「協生農法」を採用し、農業の在り方そのものを再考しています。
具体的なプロジェクト内容
1. 食べられる森の構築
まず、専門家による新しいアプローチで不耕起・無施肥・無農薬の「協生農法」を使い、多様な植物を混植した「食べられる森」を設立します。この森では、野菜や果物の栽培だけでなく、神代和紙の原料となる楮や三椏も育成されます。これは生物多様性を保つだけでなく、地域の人々に農業と自然との関わりを楽しんでもらうことを目的としています。
2. デジタル技術の活用
次に、デジタル技術を利用し、耕作地の遠隔監視アプリの開発も計画しています。岡山大学のデータサイエンス部が中心となり、データを可視化して、都市部の人々が現地の変化をリアルタイムで感じられる仕組みを整えます。これにより、農地に対する参加意識が高まると共に、地域とのつながりが強化されることが期待されます。
3. 地域資源の高付加価値化
最後は「食卓のトータルデザイン」により、収穫物を用いたレシピ開発や、神代和紙を使ったテーブルウェアの開発を行います。地域の食材を利用した地元の味を提供することで、都市との新しいコミュニケーションモデルを構築したいと考えています。
取り組みの実施予定と成果
このプロジェクトは、2026年7月から2027年3月までの間に、新見市の神郷地区で実施される予定です。月に1回以上のフィールドワークや、現地滞在を通じて、地域課題の解決に向けた活動が展開されます。
期待される成果と今後の展望
岡山大学はこの取り組みを通じて、自然と共生する社会を実現し、地域と共に未来を創造することを目指しています。また、大学間連携の枠組みを利用し、地域資源を生かした持続可能な価値の創造を進めていく所存です。
地域の課題解決を通じて、新見市とのつながりを深め、「開かれた地域中核・特色ある研究大学」としての役割をますます確立していくことでしょう。次代の地域再生に向けた新たな試みに、今後とも注目が集まります。