不妊治療における歯周病の新たな影響とは？岡山大学の研究が示す可能性

不妊治療における歯周病の可能性

岡山大学の研究チームが発表した新たな研究成果が注目を集めています。この研究では、口腔疾患の一種である歯周病が不妊の原因となる可能性があることを示しました。具体的には、不妊治療を受けている患者において、歯周病の原因となる細菌Porphyromonas gingivalis（Pg菌）が自然妊娠を果たした妊婦と比べて高い割合で感染していることが確認されたのです。これにより、歯周病の早期検査と治療が不妊治療の成功率を向上させる鍵となるかもしれないという成果が得られました。

研究の背景

この研究は、岡山大学の大学院医歯薬学総合研究科の歯周病態学分野の永田千晶客員研究員らによって行われました。不妊治療を行っている患者さんと自然に妊娠された妊婦さんを対象にした臨床研究と、歯周病マウスモデルを使用した動物実験が行われました。

実験の結果、日々不妊治療に苦しむ患者さんたちの口腔内の状態が、妊娠の可能性に深く関わることが明らかになったのです。これは、歯周病が不妊だけでなく、早産や低体重児の原因ともなることが過去の研究でも示唆されており、再び口腔の健康が妊娠活動において重要であることを強調しています。

歯周病と不妊の関連性

研究チームは、Pg菌の感染が引き起こす歯周病が、マウスモデルの雌性に対してさまざまな悪影響を示すことを確認しました。具体的には、感染したマウスの子宮に異常が見られ、出生数が減少し、胎児の体重が低下するなどの結果をもたらしました。これは、歯周病によって妊娠に及ぼす影響が実際に存在することを示しています。

永田客員研究員は、「最初は歯周病と不妊症の関連性を疑っていたが、実験を重ねる中で確信に変わった」と述べています。終始患者の協力によって得られた知見は、歯科と生殖医療の連携が生む新たな可能性を感じさせます。

インフォームドコンセントの重要性

大森一弘准教授は、進行した歯周病を専門的に治療した結果、治療後すぐに患者さんが自然妊娠を果たした事例に触れ、歯周病と不妊の関係について重要性が高まったと話しています。このような事例から、歯科治療におけるインフォームドコンセントの重要性も浮かび上がります。

未来への期待

「不妊治療を希望するカップルが増加しており、歯周病が不妊に関わることがこれまで以上に知られるかもしれない」と三宅貴仁院長は語ります。不妊症の原因として歯周病が挙げられることで、妊娠率向上に寄与することは間違いありません。研究の結果が広まり、多くのカップルが口腔の健康に配慮するきっかけとなることが期待されます。

研究に関する詳細情報

この研究の成果は、2025年10月7日付で国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されており、歯周病が不妊の一因となる可能性が科学的に証明されました。今後もさらなる研究が進むことで、口腔の健康が妊娠活動に与える影響についての理解が深まることが期待されています。

不妊治療を行うすべての方々が、まずは自分の口腔内の状態を見つめ直し、必要な治療を受けることが大切なのです。口の健康が未来の家族を育む土台となることを、皆さんも心に留めておいてください。