海上保安庁とダイヤ工業の連携
アシストスーツ開発への道
岡山県岡山市に本社を置くダイヤ工業株式会社は、海上保安庁との共同プロジェクトを通じて、革新的なアシストスーツを開発しました。このスーツは、船舶でのロープ引き作業を補助する目的で誕生し、その開発過程で得られた知見は、2025年に開催される「日本人間工学会 第66回大会」で発表される予定です。
共同開発の背景
このプロジェクトは2022年、「農業WEEK」の展示会での出会いからスタートしました。海上保安庁の担当者がダイヤ工業の製品に興味を持ち、現場のニーズに応える製品を一緒に開発するアイデアが生まれました。2023年から既存製品の検証とプロトタイプ製作が行われ、2025年には正式に導入される予定です。
作業環境の厳しさ
海上保安庁の乗組員は、救助作業や漂流物の引き揚げ、係船作業など、身体に大きな負担を強いられる業務に従事しています。特に、海中からシンカー索を引き上げる作業は、強風時において全身の力を使うため、腕や腰への負担が増大します。このような環境下で、アシストスーツの導入が求められていたのです。
アシストスーツの工夫
既存のアシストスーツは、主に重量物の持ち上げや中腰姿勢の保持が得意でしたが、引っ張る動作には対応していませんでした。そこで、ダイヤ工業は、船舶での作業に特化したアシストスーツの開発に着手。特にロープを引く際の身体的負担を軽減するために、その引っ張り動作を徹底的に研究しました。
製品の特徴
開発されたアシストスーツは、以下のような特性を持っています。
- - 滑り止め手袋: ロープをしっかりと握れるように最適化された摩擦力の高い素材を使用。指間はクッション性があり、引っ張り力を効果的に分散します。
- - 腕ベルト: 引っ張る際の力を骨盤付近に直接伝えるための非伸縮特殊素材。
- - アシストベルト: 骨盤をしっかり固定し、動作をスムーズに保つために設計されています。
導入予定と発表
この製品は、2025年2月28日から海上保安庁に11点納入されることが予定されています。また、同年5月21日から23日にかけて、北九州国際会議場で行われる「日本人間工学会 第66回大会」でも発表されます。この大会では、ダイヤ工業がロープの引っ張り動作をどのように補助するアシストスーツを開発したのか、詳細が報告される予定です。
未来への展望
新たに開発されたアシストスーツは、船上作業だけでなく、土木現場や運搬作業など、多岐にわたる場面での導入が期待されています。特に、他の作業でも腕を使うことが多いため、効率的なサポートが実現可能です。最近の労働環境での身体的負担軽減に大いに寄与するものとして、多くの業種での需要が見込まれています。さらに、着脱が簡単で使用しやすい設計も高く評価されています。
会社紹介
ダイヤ工業株式会社
- - 所在地: 岡山県岡山市南区古新田1125
- - 設立: 1963年4月
- - 事業内容: コルセットやサポーター、アシストスーツ、テーピング製品など、さまざまな医療・介護用品を開発・製造・販売しています。
- - 公式サイト: ダイヤ工業株式会社
ダイヤ工業は、今後も人々の暮らしを支える製品を開発し続ける意向を示しており、皆さまのご期待に応えられる存在を目指しています。