ラットとヒトの愛着
2025-06-12 23:01:19

岡山大学の研究が解明したラットと人間の愛着形成メカニズム

岡山大学が解明したラットと人間の愛着形成メカニズム



岡山大学の研究チームが、ラットがどのようにして人間の手に懐くのか、そのメカニズムを明らかにしました。この研究では、オキシトシンというホルモンが重要な役割を果たしていることがわかりました。オキシトシンは一般に「愛情ホルモン」として知られ、多くの社会的行動に関与しています。

研究の概要



研究は、岡山大学の大学院自然科学研究科の林姫花助教と坂本浩隆教授が中心となり、国内外の研究機関とともに行われました。ラットの若齢期から思春期にかけての「じゃれあい」を模した実験を通じ、ラットがヒトの手に対して強い愛着を示すことを観察しました。具体的には、ヒトによるハンドリングが行われた場合、ラットは快感の証として超音波を発声し、自ら人間の手に近づくようになったのです。

さらに、脳内の視床下部腹内側核腹外側部(VMHvl)のオキシトシン受容体の活性化が、愛着行動において重要であることが見出されました。興味深いことに、オキシトシン受容体を持つニューロンが機能しないように操ると、ラットはヒトの手への愛着行動を示さなくなることが実験結果からわかりました。

新たな知見



今回の研究は、心地よい触覚刺激がオキシトシンを介して動物間や種を超えた社会的絆形成に寄与することを明らかにしています。この知見は、動物介在療法や愛着障害の理解を深め、新たな治療法の開発にもつながる可能性があります。

坂本教授は、「私たちがペットや動物に優しく接することで絆が生まれる仕組みを、この研究を通じて科学的に説明できたことに意義があります。オキシトシンが人と動物の関係性を深める鍵であるという点は、今後のアニマルセラピー研究に新たな光を与えます」と述べています。

愛情ホルモンと人間とのつながり



林助教は、「動物同士が仲良くなる仕組みが少しずつ解明されてきました。動物の愛情を引き出すメカニズムを理解することで、人間の対人関係にも応用可能な知見が得られるのではと思います。オキシトシンが関与するこの仕組みこそが、社会的絆や愛情の形成において根底にあるのかもしれません」とも語っています。

今後の展開



この研究の成果は、2025年に国際学術誌「Current Biology」に発表されたばかりであり、今後の動物行動研究や臨床心理学への影響が期待されます。また、研究が進むことで、動物と人間の関係性を深める新しいアプローチが確立され、社会的な支援が広がる可能性を秘めています。

岡山大学のさらなる研究成果とその応用に、今後も注目が集まることでしょう。


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