岡山大学が先進医学をテーマに開催した医学系技術課鹿田研修会が注目を集める

岡山大学で行われた第87回医学系技術課鹿田研修会

2025年11月21日、岡山大学の鹿田キャンパスにて「第87回医学系技術課鹿田研修会」が開催されました。この研修は、対面とオンラインのハイブリッド形式で行われ、医学系技術職員にとって非常に重要な学びの機会となりました。

医学系技術課の技術職員は、基礎研究から臨床支援まで様々な役割を担っていますが、急速に進化する医療分野においては、常に新しい知識とスキルを身につけることが求められます。この研修会は、情報共有や技術職員間の連携を強化することを目的として年間3回定期的に実施されています。今回特に注目されたテーマは「婦人科悪性腫瘍と遺伝学的検査」で、講師として岡山大学の周産期医療学講座の長尾昌二教授が招かれました。

長尾教授は、最近のがん診療における遺伝子検査の重要性を強調し、個々の患者の遺伝子情報に基づいて最適な治療法を選択するというがんゲノム医療の概念を詳しく説明しました。特に、卵巣がんや子宮体がんの患者に対する具体的な治療例として、BRCA遺伝子変異を持つ卵巣がんに対するPARP阻害薬の使用や、子宮体がんにおける免疫チェックポイント阻害薬について言及されました。

また、遺伝子が関与するリスク低減のための手術、すなわちリスク低減卵管卵巣摘出術（RRSO）についても紹介されました。この手術は、遺伝性乳がん卵巣がん（HBOC）症候群の患者に対して、がんの発症頻度や死亡率を大幅に低下させる効果があるとされています。具体的なデータをもとに、予防的介入の有効性が示され、参加者は最新の知見に基づく情報を得ることができました。

質疑応答のセッションでは、参加者から活発な質問が飛び交い、長尾教授の見解に対する興味が高まっていました。技術専門職員の玉田祐里さんは、研修会の有意義さを実感すると同時に、自身のスキル向上への意欲を強く持っている様子でした。

岡山大学総合技術部の佐藤法仁副理事、技術副総監は、「最新の医療技術について学ぶことの必要性を強調し、技術職員のスキルアップを今後も支援していきたい」と語りました。技術職員の連携を強化し、さらに多様な研修プログラムを通じて、岡山大学を地域の中核大学として位置づける取り組みが期待されています。

岡山大学は、地域貢献を視野に入れながら、東京科学大学の高度技術職員養成プログラム「TCカレッジ」にも参加。このような取り組みを通じて、技術職員の能力の向上を目指し、地域の医療や社会に貢献する大学としての役割を果たし続けています。

今後も、岡山大学は医療技術や研究における革新を推進し、地域社会と共に持続可能な未来を築くために邁進していくことでしょう。