岡山大学が開発した新たな皮膚評価モデル
岡山大学の中村隆夫教授とアルケア株式会社の共同研究によって、皮膚の状態を瞬時に数値化できる新しい計算モデルが開発されました。この革新的な技術は、皮膚の健康を守るための早期警告システムとしての役割を果たす期待が寄せられています。
皮膚バリア機能とは?
皮膚は体外からのさまざまな刺激や病原体から私たちを守ってくれる「バリア」としての機能があります。このバリア機能を評価するためには、皮膚の水分蒸散量が重要な指標となりますが、従来の評価方法では測定に時間がかかり、臨床現場での積極的な利用が難しいものでした。そこで、岡山大学は新たに、経皮水分蒸散量計の代替として利用できる計算モデルを開発したのです。
新たな計算モデルの仕組み
これまでの研究をもとに、皮膚の角層における「電気の流れにくさ」と「電気の溜まりやすさ」を利用して、皮膚の水分蒸散量をおよそ5秒で推定することが可能になりました。この新しい測定機器によって、事前準備を含めても測定時間は約5分です。これは従来の測定法に比べて大幅な短縮となり、克服できなかった測定のハードルを下げることに成功しています。
早期トラブル対策への期待
開発されたモデルは、「角層の厚さ」「角層の水分量」「皮膚の水分蒸散量」の3要素を同時に評価することが可能です。これにより、皮膚トラブルの予兆を捉え、早期からの予防的ケアが実現できると期待されています。特に、皮膚科学や看護学、さらには化粧品の開発においてもこのモデルの応用が見込まれます。
研究成果の広がり
本研究成果は、2025年に発行される「Journal of Medical and Biological Engineering」に掲載予定で、臨床応用に向けたさらなる発展が期待されています。中村教授は、「このモデルが皮膚科学のさまざまな領域で役立つことを願っています」と語っています。
まとめ
岡山大学とアルケアの共同研究は、皮膚科学の発展に向けた新しい一歩となるでしょう。急速に変化する現代社会において、皮膚の状態を迅速に評価し、早期のトラブルに対処することは、ますます重要になっています。この新しいモデルがもたらす影響に、注目が集まります。