岡山大学の新薬承認申請
2025-12-21 17:27:24

岡山大学開発の腫瘍溶解ウイルス製剤が厚労省に承認申請

岡山大学開発の新たながん治療法『テロメライシン』



国立大学法人岡山大学の消化器外科学分野において、藤原俊義教授や黒田新士准教授の研究グループが中心となって開発が進められている腫瘍溶解ウイルス製剤「テロメライシン」が、この度厚生労働省に医薬品製造販売承認の申請を行いました。この業績は、がん治療における新たな道を開く大きなニュースとして注目されており、特に標準治療が難しい食道がん患者にとって、朗報となることが期待されています。

テロメライシンの特徴



テロメライシン(OBP-301、Suratadenoturev)は、岡山大学が開発した、がん細胞のみに選択的に作用し、正常細胞に対しては無害な特性を持つ抗がんウイルス製剤です。この特性により、テロメライシンは正常な細胞には影響を与えず、患者に優しい治療法としての可能性を秘めています。

さらに、テロメライシンは放射線治療と併用することで、放射線によるDNA修復を阻害する効果が確認されています。これにより、治療効果が大幅に向上することが期待され、多くの患者にとって新たな希望となるかもしれません。

臨床試験の進展



2006年から始まった臨床試験では、テロメライシンの安全性が厳格に検証されており、米国および日本国内での第I相試験では、その有効性が示されています。特に日本では、全国17の医療機関で実施された第II相臨床試験において、食道がん患者に対する高い臨床的完全寛解率が得られました。これにより、今回の申請に至ったと考えられます。

薬事承認の意義



テロメライシンは、2019年に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から「先駆け審査指定制度」の対象として選定され、今回の承認申請はその重要な一歩を意味します。この薬剤の市場投入が実現すれば、食道がん治療において新しい選択肢が提供され、患者にとっては大きな福音となることが期待されています。

販売に関しては、岡山大学発のバイオベンチャー、オンコリスバイオファーマ株式会社が担当し、富士フイルム富山化学株式会社との提携により、準備が進められています。

研究者からのコメント



藤原教授は、「国産の抗がんウイルス製剤であるテロメライシンの薬事承認申請ができたことを非常に嬉しく思います。臨床試験では多くの患者さんで局所の食道がんが消失しました。これが実際の治療に結びつくことを願っています」と述べています。この言葉からも、研究者たちの熱意と患者への思いやりが伝わります。

今後も岡山大学が生み出す新たな治療法に注目が集まる中、テロメライシンがどのように食道がん治療の現場に影響を与えるのか、期待が高まります。


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