美作市に新しい居場所「誰でもYorale」
岡山県美作市に、2025年7月9日にオープンした「誰でもYorale(ヨレール)」。ここは「お世話する人がいない」形で運営される新しいコミュニティスペースです。生きづらさを抱える若者や地域の高校生、また誰でもがありのままの自分で過ごせる場所を目指しています。
このスペースは、完璧なサービスを提供するのではなく、「足りない」部分があるからこそ、人々が「やってみようかな」と思えるような、自由で安心できる居場所になっています。運営は、岡山県美作市田殿にある「人おこしシェアハウス」と連携を取りながら行われています。
温かく迎えてくれる空間
子どもから大人まで、ふらっと立ち寄りやすいこの場所には、手作りの看板が並んでいます。運営スタッフやその場に居合わせた人々が、自然と準備やサポートに参加する風景が日常です。このように参加の空気感が育まれているのも「Yorale」の特徴と言えるでしょう。
このプロジェクトは、ひとつのフリースペースの代表がぽろっと言った「お留守番だけでも、誰かいたらいいのにな」という言葉から始まりました。この言葉に共感し、美作市地域おこし協力隊やNPO法人山村エンタープライズ、地域の支援者たちが集まって運営がスタートしました。
その場の「不完全さ」が生む奇跡
オープン当日、準備が整わないというハプニングが発生しましたが、その状況が奇跡的な展開となります。途中から誰かがテーブルを運び、別の人が菓子を並べ始めました。「何か手伝おうか」という自然な空気が漂い、初対面の人々が、まるで阿吽の呼吸のように協力し合いました。この経験から「完璧じゃないからこそ役割が生まれる」という気づきを得て、場所の心地よいリズムが生まれました。
誰もが主役の空間
放課後には、高校生たちがプロジェクターで大画面のゲームに夢中になっていたり、リラックスした時間を過ごしています。ここは、学校や家庭とは違う、もう一つの大切な時間を持てる場所です。
「お世話する人がいない」という運営スタイルが育む、以下の三つの価値があります。まず、『頼っていい』という安心感が、人々の自信を育てます。運営スタッフは求めず、利用者に助けを求めることで、頼り合う関係が生まれます。
次に、上下関係のないフラットなコミュニケーション。誰もが同じ目線でいられることで、互いに心地よい距離感が生まれます。最後に、「何もしない」を選べる安心感です。来た人は自己紹介や活動への参加を強要されることはなく、自由に自分の時間を過ごせます。
活動の発起人が語る「Yorale」の意義
発起人の花房優さんは、「私たちが創りたかったのは、ただ一つの正解がある場所ではなく、使う人に応じて意味が変わる自由なスペースです。訪れた人が『今日はここに来てよかった』と思える場になってほしいと思っています。」と語ります。
「お世話する人がいない」とは身を引くのではなく、互いに頼り合う関係が育つ場であると信じています。この場所が、訪れるすべての人に自分の「ちょうどいい」を見つけさせる大切な空間となるよう願っています。
今後のビジョンと課題
今後は、岡山県立林野高校との連携を活かし、訪れる全ての人々が地域や社会と繋がる小さなきっかけを作る場を目指します。しかし、現在は地域おこし協力隊制度に依存しているため、今後の運営体制の構築が課題となっています。地域の方々や企業との協力がカギとなるでしょう。
「人おこしシェアハウス」の仲間たちが作る天然酵母の焼きたてパンなど、地域からの温かいサポートが「Yorale」の魅力をさらに引き立てています。
プロジェクトの概要
- - 名称:誰でもYorale(ヨレール)
- - 主催:地域おこし協力隊、NPO法人山村エンタープライズ、美作市子ども・若者支援者会議
- - 場所:フリースペース「むすびこぶ」内(岡山県美作市栄町)
- - 日時:月2回水曜日 14:00〜18:00
- - 対象:どなたでも
- - 内容の一例:お菓子や飲料の提供、ゲーム、パンの販売、コワーキングなど多様な過ごし方が楽しめます。内容は日によって変わり、その日の楽しみを提供します。
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