埼玉県さいたま市に新たに誕生したテナントビル
埼玉県さいたま市にて、CLT(Cross Laminated Timber)と鉄骨を組み合わせた新しいタイプのテナントビルが完成しました。これにより、木材の温かみと鉄骨の強度を併せ持つハイブリッド構造が実現し、建築物の新たな可能性が広がっています。このビルは、ライフデザイン・カバヤ株式会社が運営するCLTフランチャイズネットワーク本部『日本CLT技術研究所』の加盟企業、近藤建設株式会社によって施工されました。
この5階建てテナントビルは、大宮駅東口からわずか徒歩5分の場所に位置しています。鉄骨造にCLTパネルを耐震壁として組み込み、しっかりとした耐震性を持ちながらも、木質の特性を活かした外観が魅力的です。特に、南側の道路に面したCLT耐震壁は、現し仕上げとなっていて、周囲の鉄骨造やRC造の建物と調和しつつ、木の温もりを感じられるデザインとなっています。
また、全面ガラスのファサードは、通行人が建物の内部を伺いやすく、テナントの魅力を引き出す開放的なデザインを実現しています。1階から5階まで同様の間取りが採用され、光環境解析を基にカーテンウォール内のルーバーの寸法が調整されており、すべての階で高い環境性能を持っています。このように、テナントスペースが統一された生産性の高い空間を提供しています。
さらに、建物の東側には階段、西側にはエレベーターが配置されており、CLTパネルが耐震コアとして役割を果たしています。これにより、地震などの自然災害に対しても従来の鉄骨構造と比較して約1.6倍の耐力を有することができます。これは、耐震性を重視する現代の建築にとって重要な要素です。
また、耐震壁として用いられたCLTパネルは間伐材を活用し、炭素を固定することから、全体の環境性能向上にも寄与しています。このような意匠と環境負荷を考慮した取り組みが評価され、次世代型の建築モデルケースとして期待されています。すでに、豊富な資源を活かしたこの建物は、地域のランドマークとしての役割を果たすことでしょう。
完成見学会は、2025年10月9日と10日の2日間にわたって開催され、120名以上が参加。多くの人々が新しいCLTビルの魅力を体験しました。この建物が地域で受け入れられ、今後の中高層建築におけるCLTの活用が促進されることが期待されています。
【物件概要】
- - 工事名称:大宮区大門町テナントビル新築工事
- - 建築地:埼玉県さいたま市大宮区大門町2丁目26番地
- - 構造:鉄骨造+CLT耐震壁
- - 階数:地上5階
- - CLT使用量:79.93m³(耐震壁:5層7プライ、t=210㎜)
- - 樹種:国産スギ・ヒノキ
- - 建築面積:255.77m²
- - 延床面積:1,272.31m²
- - 建築主:有限会社ポルト企画
- - 施工:近藤建設株式会社
- - 意匠設計:ライフデザイン・カバヤ株式会社
- - 構造設計:株式会社構造計画研究所
- - CLTパネル製造・加工:銘建工業株式会社
この新たなテナントビルは、埼玉県内でCLTの重要な拠点となり、地域社会への貢献を目指しています。