岡山大学が進める「聞こえを支えるまち」とは
岡山大学(岡山市北区)と岡山市、デマント・ジャパン株式会社は、2025年7月2日に「聞こえを支えるまち」実現に向けた連携協定を締結しました。この協定の目的は、加齢性難聴に対する理解を深め、早期の発見と対応を進めることです。
聴覚支援の重要性
近年、高齢化社会が進行する中で、加齢性難聴は多くの人々に影響を及ぼす健康問題として認識されています。適切なサポートがなされなければ、高齢者の生活の質(QOL)は大きく低下する可能性があります。そこで、この連携によって構築される屋外聴覚検診車「Audika GO(オーディカ・ゴー)」を利用し、スクリーニングを行うとともに、難聴が疑われる方への受診勧奨など、包括的な支援体制を築いていく予定です。
連携協定の具体的な内容
「City for Better Hearing」の実現に向けて、以下のような具体的な取り組みが計画されています。
1.
聴覚検診車の運用: 出張型の聴覚検診を実施し、早期の問題発見を促す。
2.
専門人材の育成: 資格を持つ人材を育成し、補聴器の適切な装用を指導。
3.
効果の検証: サポートを受けたユーザーの生活の質向上を実証するための研究を行い、地域に還元。
4.
普及啓発活動: 地域の人々に耳の健康についての知識を広め、意識を高める。
調印式の様子
調印式には、岡山大学の那須保友学長、岡山市の大森雅夫市長、デマント・ジャパンの齋藤徹社長が出席しました。那須学長は「誰一人取り残さない社会」を目指すという強い意志を表明し、大森市長も地域の耳の健康と健康寿命の延伸に向けた期待を語りました。齋藤社長は、聴覚ケアの推進に向けた意欲を述べ、今後の取り組みに対する熱意を伝えました。
国際的な期待
協定の重要性をより一層際立たせるため、駐日デンマーク王国大使館からも代表者が出席しました。デンマークは補聴支援において先進的な国であり、その取り組みや成功事例と本協定との親和性が強調されました。国際的な視点も加わり、岡山大学の取り組みはさらに価値を増しています。
聴覚支援センターの設置
岡山大学病院では、令和5年度に「聴覚支援センター」を設置し、医療、福祉、教育の分野を横断した支援体制を整備しています。今回の協定はこの取り組みをさらに進展させるものであり、全国的に見ても先進的なモデルとして期待されています。
まとめ
岡山大学が進める「聞こえを支えるまち」の実現へ向けたこの協定は、高齢者の健康維持や地域社会の持続可能性を視野に入れています。地域住民の耳の健康を守るため、関係者一同が一丸となり取り組んでいくことが求められています。今後の展開に注目が集まるところです。