岡山大学、抗菌酵素で新たな動物用医薬品の研究をスタート
このたび、岡山大学の学術研究院医歯薬学域に所属する内山淳平准教授が、「PSI GAPファンド・ステップ2」に選ばれました。このファンドは、中国・四国地域の大学が協力して立ち上げたスタートアップ支援のプラットフォーム「Peace & Science Innovation Ecosystem(PSI)」の一環であり、科学技術振興機構(JST)がその支援を行っています。
研究の背景と目的
内山准教授の研究テーマは、薬剤耐性菌に対抗する新たな動物用抗菌剤の創出です。世界中で薬剤耐性菌が急速に増加している中、従来の抗生物質の使用制限がかかることが予想されます。このため、抗菌酵素は新しい選択肢として注目されており、内山准教授はその可能性を広げるべく、研究を進めています。
彼のアプローチは、独自の抗菌酵素データベースと分子設計技術を活用して、標的とする細菌に対して高い効果と安定性を持つ抗菌酵素の開発にフォーカスしています。研究の期間は2025年4月から始まり、2028年3月までの3年間で、総額約6,000万円の研究費が提供されます。
研究の意義
内山准教授は、「動物用の抗生物質使用の制限が進む中で、抗菌酵素の開発は重要です。私たちの研究によって、高性能な抗菌酵素を創出し、国内外の需要に応えて新しい動物用医薬品を実現したいと考えています」と述べています。このプロジェクトを通じて、日本からの抗菌酵素を利用した医薬品の事業化が進み、薬剤耐性菌というグローバルな課題解決にも寄与することが期待されています。
また、岡山大学におけるこの取り組みは、地域の中核大学としての役割を果たしつつ、アグリテック分野における国際競争力の強化にもつながるでしょう。内山准教授のビジョンには、「抗菌酵素の力で世界のアグリ・バイオ分野に新しい可能性を切り開く」というメッセージが込められています。
PSIGAPファンドについて
PSI GAPファンドは、起業に向けた支援を「ステップ1」と「ステップ2」の2段階に分けて実施しています。今回の内山准教授の採択は「ステップ2」にあたります。ここでは、企業化準備やライセンス展開への具体的な支援が行われ、採択者には資金提供に加え、アクセラレーションプログラム、経験豊富な人材による伴走支援が授与されます。
そのため、研究者や学生が自身の研究シーズを事業化したいと考える際には、ぜひこのファンドに応募してみることをお勧めします。
まとめ
岡山大学の内山准教授の研究は、動物用医薬品の革新を目指しています。この取り組みを通じて、日本のアグリテック分野は新たな国際的な舞台での競争力を獲得することができるかもしれません。岡山大学の今後の活動と成果に注目です。注目される「PSI GAPファンド」の次回の募集も近日中に始まる予定ですので、研究者の皆さんはぜひ関心を持ってチェックしてください。