岡山大学と早稲田大学が新たに開発した植物センサの革新

新たな研究の成果

岡山大学、早稲田大学、北九州市立大学の研究チームが共同で、植物の内部で糖輸送をリアルタイムに監視することが可能な「植物刺入型多酵素センサ」を開発しました。この新しいバイオセンサは、ストロベリーグアバの茎や果実に刺入され、ショ糖の動態を24時間にわたり測定できるという画期的な技術です。

開発の背景と目的

植物における糖の輸送は、光合成や成長、環境応答の理解において重要な役割を果たします。しかし、従来の方法では、植物内部に持続的に設置できる高感度センサが実現されていませんでした。新たに開発されたセンサは、酵素反応によって生成される電流信号を使用して、自発的に電力を生み出し、継続的かつ定量的に糖の動きを可視化することができます。

研究の詳細

このセンサには、グルコースオキシダーゼ、インベルターゼ、ムタロターゼといった多くの酵素が使用されており、これにより植物内の糖の動きをリアルタイムで測定できます。具体的には、日本杉の葉からの光依存的な水とショ糖の吸収を安定同位体標識水を用いて検証しました。

さらに、この研究は科学研究費補助金や国立研究開発法人科学技術振興機構（JST）の支援を受けており、2025年6月8日に科学誌「Biosensors and Bioelectronics」にも公開されました。機関間の共同研究を通じて、植物生理学やスマート農業への応用が期待されています。